2025年5月4日放送のフジテレビ系ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』では、「ひきこもって37年~母と息子の小さな食卓~」と題し、52歳のひきこもり男性・まさきさんと、彼を支え続ける79歳の母親の姿が描かれます
まさきさんがひきこもることになった背景には、誰にでも起こりうる心の傷と、想像を超える日々の葛藤がありました。
この放送を見た視聴者からは「涙が止まらなかった」「他人事じゃない」といった声が多く上がり、SNSでも大きな反響を呼んでいます。
この記事では、まさきさんが働けない理由、母親の思い、そして番組で描かれたリアルな日常について深掘りしていきます。
まさきがひきこもって37年──部屋に積み上がる過去
まさきさんは、15歳の頃から自宅にひきこもり始めました。そのきっかけとなったのは、中学時代に夢見ていたサッカー選手としての道を断たれることになった「膝のケガ」でした。さらに追い打ちをかけるように、学校ではいじめに遭い、次第に心を閉ざしていったのです。
以降、社会との接点を絶ち、自宅の一室で音楽に没頭するようになりました。CDや雑誌を集め続けた結果、部屋の中は荷物であふれ、小さな食卓にも物が積み上がってしまいました。彼の生活は、テレビの前で過ごす日々に限定され、現実から目を背けるような暮らしが続いていました。
「この子を置いて私は死ねない」──支え続けた母の覚悟
そんなまさきさんの生活を、長年にわたり支え続けてきたのが、79歳の母親です。買い物、食事、掃除、洗濯──すべてを母が一手に引き受けてきました。
しかし、母も年齢には抗えず、ある日、誤嚥性肺炎で倒れて救急搬送されてしまいます。意識を失い、生死の境をさまよった末に奇跡的に回復しましたが、その後は足腰が衰え、家事も思うようにこなせない状態に。
その中で母が口にした言葉──「生きていても希望がない」──は、まさきさんに大きな衝撃を与えました。37年間、自分のすべてを支えてくれた母の心が、ついに折れてしまった。その現実を突きつけられたまさきさんは、ある決意をします。
「片付ける」という第一歩──重なる荷物と向き合う覚悟
まさきさんは、部屋に積み重なった荷物を整理することを決意します。それは単なる「片付け」ではありません。37年間、閉ざされた心の中に堆積した想い、過去、そして罪悪感と向き合う行為でもあります。
「自分がこのままではいけない」「母のために変わらなければ」──そう考え始めたまさきさんは、少しずつ行動を始めます。掃除に手をつける様子や、母のために何かをしようとする姿勢は、番組を観ていた多くの視聴者に希望と感動を与えました。
まさきさんが働けない“本当の理由”
では、なぜまさきさんは37年間も働くことができなかったのでしょうか?
それは、「怠けていたから」では決してありません。彼の根底には、人間関係で傷ついた過去、自尊心の喪失、そして「外の世界は自分を受け入れてくれない」という強い思い込みが存在していました。
ひきこもりが長期化すると、生活リズムが崩れ、社会的スキルが低下し、「働きたい」と思っても実際に踏み出すことが難しくなります。まさきさんのように、家族以外と会話をせず、社会との接点を断った生活を長年続けてきた人にとって、「働く」という行為は極めて高いハードルなのです。
SNSでも反響「誰にでも起こりうる話」
番組放送後、X(旧Twitter)などのSNSでは以下のようなコメントが多く寄せられました。
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「まさきさんと母の姿に涙が止まらなかった」
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「明日は我が身。親が元気なうちに動かないと」
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「ひきこもりは他人事じゃないと実感した」
この番組は、単にひきこもりのリアルを描いただけではなく、高齢化社会において今後深刻化が予想される「8050問題(80代の親と50代のひきこもりの子)」に警鐘を鳴らす内容でもありました。
今、私たちにできることとは?
このドキュメンタリーを見て、私たちが考えるべきことは、「どうすればひきこもりの人たちが社会と再びつながれるか」という点です。
行政のサポートや地域コミュニティの介入はもちろんですが、何よりも大切なのは、本人の「変わりたい」という意志を尊重し、それを支える“身近な誰か”の存在です。
まさきさんの場合、それが「母の涙」でした。言葉ではなく、行動でもなく、「涙」という感情の表出が、彼の心を動かしました。
最後に──まさきさんの一歩を応援しよう
「ひきこもり」と聞くと、どうしてもネガティブなイメージを抱きがちですが、そこには必ず“理由”があります。そして、多くの人が「変わりたい」と心のどこかで思っています。
今回の『ザ・ノンフィクション』は、その小さな希望を丁寧に描いてくれました。
まさきさんのように、一歩を踏み出そうとする人たちを、私たちは批判ではなく、共感と応援の気持ちで見守るべきではないでしょうか。
番組情報:
フジテレビ『ザ・ノンフィクション』
放送日:2025年5月4日(日)14:00〜(関東ローカル)
タイトル:「ひきこもって37年~母と息子の小さな食卓~」
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